五輪後の建設市場は「減少」か「横ばい」…アナリストに聞く

インバウンド・地域活性 コラム

日本総合研究所総合研究部門・山田英司氏
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 □今後のビジネスモデルは-抜本的な構造転換を□

 「抜本的なビジネスモデルの転換」の必要性を説くのは山田氏。将来的に物量が減少した場合に備え、技術力に見合った価格での受注を徹底し、建設産業そのものの価値を底上げすることが、人材の確保にもつながるとの見解を示した。

 人手不足解消に向けては、労働者派遣法で建設業務での労働者派遣が禁じられ、「派遣」という形態では自由な人材の融通ができないことを念頭に、佐藤氏は「優秀な人材をプロジェクトごとに融通し合うことで、繁忙期の職人不足を乗り切ることができるかもしれない」と指摘。「政府も含めた関係機関との協議を視野に入れるべきだ」と提案した。

 佐藤氏は、「既存のビジネスモデルからの脱却」が鍵になるとも指摘する。「新築偏重からメンテナンスへ、都心から地方都市へと考え方を切り替え、今ある需要を取りこぼしなく取り込むことが重要では」と話す。

 10年後の建設業の未来について3氏は、国内需要こそ縮小傾向になるものの、海外を含めれば十分に成長の可能性があると分析。「業界が抱える課題は多いが、逆に今がそれらに対応するチャンス」(山田氏)、「(課題解決の)努力の先に、業界が発展する可能性は十分にある」(榊原氏)、「競争は激化することになるが、建設市場そのものが拡大する可能性に期待したい」(佐藤氏)とした。

 □海外での事業展開はー技術力がアピールポイントに□

 海外での事業展開は、建設業の成長の鍵を握る重要な要素の一つになる。発展途上国を中心に、日本のインフラ技術を必要とする国・地域は多く、信頼性も高い。

 佐藤氏は「耐震性能などの技術に加え、納期を守る、事故を起こさないといった基本的なところに至るまで、日本の建設技術は世界でもトップクラスといえる」とあらためて評価し、「海外で事業展開する上で、技術力はアピールポイントになる」とした。

 需要への期待が大きい一方で、海外事業ではカントリーリスクも考慮する必要がある。山田氏は「施工だけではリスクが高い」と警鐘を鳴らす。プロジェクト・マネジメント(PM)やコンストラクション・マネジメント(CM)といった建設をトータルでコーディネートする仕事でリスクを減らすといった考え方の重要性が増すとみる。

 榊原氏は、「地域に根付くためにも、現地企業との連携が必要不可欠」とした上で、資本注入や業務提携、共同企業体、M&A(企業合併・買収)などさまざまな手法の必要性を強調。「日本のエンジニアリング会社や不動産会社など、海外経験が豊富な企業と組むことも選択肢の一つ」とし、業界の垣根を越えた連携の必要性も指摘した。
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日刊建設工業新聞

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