狙え、インバウンド需要! ホテル業界の事業戦略を追う

インバウンド・地域活性 ニュース

15年8月で閉館し、解体が進むホテルオークラ東京本館。新棟は19年春に開業する
15年8月で閉館し、解体が進むホテルオークラ東京本館。新棟は19年春に開業する 全 2 枚 拡大写真
 2020年五輪の開催地・東京では、大会開催を契機にさらなる増加が見込まれるインバウンドを経済の活性化につなげるため、観光振興に向けたさまざまな施策を展開している。一方で舛添要一都知事は昨年12月の都議会で「十分な宿泊施設をいかに確保するかも大きな課題」と指摘し、16年度は観光振興プログラムの策定と同時に、宿泊施設確保の取り組みを推進する考えを表明した。

 ◇東京都、臨海副都心に宿泊機能を誘導◇

 都が取り組んでいるのが、MICE(国際的イベント)機能強化に合わせた宿泊施設の確保だ。特に五輪関連施設が集まる臨海副都心地区では、五輪後も見据えたまちづくりや土地利用の方針を定め、未利用地への外国人向け集客交流施設の誘致を積極的に推進している。

 有明南地区では、国際イベントのさらなる増加に向けて東京ビッグサイトが展示場を増設するのに合わせ、コンベンション機能を補完する施設を誘導するために都有地を売却。ダイワロイヤルが約400室のホテルや商業、コンベンション機能などを持つ複合施設の建設を進めている。

 青海地区ではST区画に立つパレットタウンの跡施設として、森ビルとトヨタ自動車がオフィスやホテル、コンベンション、エンターテインメント機能などを備えた地下2階地上23階建て延べ約38万m2の複合施設を計画、21年度の開業を目指している。

 地区内にあるセントラル広場に隣接する4区画と、東京臨海高速鉄道りんかい線東京テレポート駅周辺の2区画計13.8haを候補地として、会議場を中心にホテルやエンターテインメント機能を備えた複合MICE施設の誘致も計画。歩行者通路や広場で分断される各区画の一体利用に向けた検討を進めている。

 ◇小規模施設対象に客層拡大サポート◇

 一方で、バリアフリー化と無線LAN環境整備に対する二つの助成事業を展開し、小規模事業者を中心に既存宿泊施設の機能充実への支援も行っている。

 バリアフリー化支援では、都内の民間宿泊事業者に施設・設備のバリアフリー化改修やユニバーサルデザインルームの設置などの経費として最大700万円を助成。年間20件ほどの利用がある。

 機器購入や設置に最大75万円を補助する無線LAN整備への助成では、13年度の事業開始以来、利用者が年々増加。これまではロビーや食堂などの共用部だけを補助対象としていたが、15年度は予算を増額して客室も補助対象に加えた。

 同年度からは外国人旅行者に対応するスタッフが不足している小規模ホテルや旅館向けに、英語、中国語、韓国語に対応する多言語コールセンターの開設もサポート。事業開始から2カ月弱で400施設が登録し、好評を得ているという。

 都はこうした支援を通じ、外国人旅行者や高齢者、障害者など小規模宿泊施設でも対応可能な客層を広げることで、都内の宿泊施設全体の稼働率を引き上げ、宿泊施設不足の解消につなげたい考えだ。
  1. «
  2. 1
  3. 2

日刊建設工業新聞

編集部おすすめ

特集

PCサイトを見る