~Sakeの海外戦略:1~世界に広がる日本酒、注目のマーケットは?

海外進出 コラム

日本食レストランの普及とともに、海外へと広まる日本酒
日本食レストランの普及とともに、海外へと広まる日本酒 全 4 枚 拡大写真
 なお、日本酒の生産は韓国でも行われており、これらの酒がアジアやヨーロッパなどにも輸出されている。やはり、日本の酒造メーカーでは太刀打ちできない価格なので、価格で勝負するような輸出戦略は難しいのが現状とのこと。ちなみに、日本から輸出した酒の相場としては香港が一番高く、一升瓶にして価格は日本円で3000円前後。シンガポールやアメリカも次いで単価が高いが、台湾ではその半値ぐらいまで下がる。

■インポーターを魅了する日本酒とは?

 日本酒を輸出しようとした場合、制度の問題などもあるため、基本的にはインポーターを介した取引となる。彼らとの関係を作りたいなら、まずはジェトロが日本で開催している商談会に参加するのが近道だ。年に2、3回開催されており、7カ国ぐらいのバイヤーが日本を訪れるという。

 では、インポーターを相手に、どのようなプロモーションを行うべきか。良く聞かれる質問としては冷酒や熱燗といった飲み方と、どんな食材に合うかということ。それらに答えた上で、相手に伝えるべきは蔵の歴史や地域性だという。

「日本の一地方にある酒蔵の日本酒を渡されても、ビジネスの相手として有望なのか、そのイメージが湧きません。どのような水が湧き、食文化が親しまれ、その中でどのような日本酒を醸してきたのか。そのストーリーを伝えた方が、ブランドに説得力が持たせられます」

 ちなみにアメリカ人は個性がある日本酒を好むといわれているが、やはり一口飲んで「あっ、これは!」と思わせるような特徴のあるものが注目されるという。分かりやすいものでは生もとや濁り酒。面白いものでは「COWBOY YAMAHAI」のように、ステーキに合う日本酒として外食チェーンに流通している日本酒もある。一方、香港や台湾では日本の情報が広まっているため、日本で人気の酒、注目を集め始めている酒が流行る傾向にあるようだ。

 なお、16年6月の国民投票によるイギリスのEU離脱が話題となっているヨーロッパだが、実は日本酒の輸出量が最も多いのは同国だ。ロンドンを拠点にEU圏で活動するインポーターも多いが、彼らのビジネスが今後どうなるかについては、松崎氏も注目しているという。これは、同件を発端に進む円高についても同様だ。

「ここ数年で売り上げの1割を海外で作ったという酒蔵の話を、ときどき聞くようになりました。しかし、リーマンショックの時には円高により、欧米のインポーターもセールスに相当苦労したと聞いています。日本酒の輸出が伸びたのは、円安が進んだ13年頃から。その傾向が足踏みしないか気になるところです」

 アメリカという広大なマーケットの拡大、国の支援などもあって、今日本酒の輸出量は伸びている。日本酒造組合中央会のデータによると、日本酒全体の出荷量は微減傾向にあるが、本醸造酒や純米酒といった特定名称酒の出荷量は伸びている。これは、低価格な現地生産品との差別化が必要というトレンドにもマッチしているだろう。

 EU離脱による円高が輸出にどう影響するかは気になるところだが、長期的には日本酒の輸出には将来性があると言える。アメリカの一部州やベトナムのような新規マーケットを開拓すれば、販路拡大のチャンスは十分に残されている。

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《丸田鉄平/HANJO HANJO編集部》

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