テクノロジーよ、過疎地を目指せ!?

人材 コラム

吉田基晴(サイファー・テック代表取締役社長/あわえ代表取締役社長)
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 例えばサーフィン、例えば農作業。都会暮らしでは捨てざるを得ない、趣味と仕事の両立の場を創ろうと徳島県の美波町にオフィスを設立したのが、サイファー・テックです。

 人材採用強化を目的スタートした地方での取り組みでしたが、人口7000人あまりの過疎地での暮らしは都会とは違った面が見えてきます。

 例えばデジタルコンテンツの著作権保護技術(不正コピー対策)を手がけるサイファー・テックが絡む電子書籍サービス。電車の中でスマートフォンの画面をのぞき込む人だらけの都会が市場の様に思えるかもしれません。しかしデジタル配信の特性は、リアル書店が存在しなくなった地方の方が活きるのです。

 文字サイズの変更や読み上げ機能などのデジタルならではの機能は、高齢者が多い地域の方が本質的なニーズが高いように思います。ICTをはじめとした最新のテクノロジーは過疎化の進む地方にこそ活躍の場があるのかもしれません。

 私が地域活性をプロデュースする会社を徳島県美波町で起業した2013年、同町で新たな取り組みを始めました。インテル社、IIJ社とともに地元の高齢者による観光ボランティアガイド「ボランティアガイド会日和佐」さんの活動を支援すべく、タブレット端末とモバイルインターネット環境をアプリとともに提供することになったのです。

 高齢者への高度な情報端末の提供はいわゆる「猫に小判」的なところで終わってしまうことが多いのでしょうが、「自分たちの大好きな美波町の魅力をもっと伝えたい!」との強い思いを持つここのボランティアガイドさん達は、私たちの想像以上にこれらのICTツールを使いこなしています。

 自分たちが撮影した満開の桜やウミガメの産卵の写真や動画をタブレットで観光客などに見せることで、季節感溢れる美波町の魅力を一年中、伝えることができるのです。増加する海外からの旅行者向けに英語の音声案内を用意したり、聴覚が不自由な方向けで手話動画を活用したり・・・。この活動が評価され「観光ユニバーサル大賞」を受賞するまでになりました。

 さらに私を驚かせたのは直射日光化では見づらいタブレットの弱点を補う為のシェード(日よけ)を自らの手で開発していたこと。このシェードのおかげで日差しが入らないため、晴天下の野外でも美しい美波のコンテンツが楽しめるようになっていました。この熱意、このリアリティをタブレットメーカーさんには見て欲しいものです。(その前には実用新案獲っておきましょうね。ガイドさんw)

 今年の4月、東京のIoT関連サービス企業が美波町にて新技術を試そうとサテライトオフィスの進出を発表しました。この企業はIoT基盤技術を活用した防災や独居老人の見守りシステムを開発しており、このシステムの価値を測る場は東京よりも課題が明白な過疎地の方が適していると伺いました。

 今後、美波町では積極的にこのような新技術を開発している企業の進出支援を行っていきます。受け入れ体制も進む現在、ビジネスの場としても地方はより魅力的なものになっていきます。最先端のテクノロジーは最先端の課題が散在している地方でこそ活きてくる。それが共通認識になる日も遠くないのではないでしょうか。

●吉田基晴(よしだもとはる)
サイファー・テック(株) 代表取締役社長/(株)あわえ 代表取締役社長
1971年美波町生まれ。神戸市外国語大学を卒業後、ジャストシステムなどを経て、サイファー・テック(株)を設立。2012年に美波町に「美波Lab」を開設。「半農半IT」など、人間らしい働き方の創造に挑戦する。2013年、(株)あわえを設立。

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《吉田基晴》

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