【卸・問屋の新戦略:2】専門家の看板で独自ブランドに挑む

制度・ビジネスチャンス コラム

小柳津清一商店では茶葉を小売業者に卸すだけでなく、メーカーとして焙煎も行うなど、従来の業態にこだわらない取り組みを行っている
小柳津清一商店では茶葉を小売業者に卸すだけでなく、メーカーとして焙煎も行うなど、従来の業態にこだわらない取り組みを行っている 全 4 枚 拡大写真
【記事のポイント】
▼消費スタイルに合わせて少しずつ業態を調整する
▼商品のブランディングにあたって“問屋”=目利きのイメージを武器にする
▼新ビジネスは本業に縛られず柔軟な発想で


■創業60年の“後発”が新業態に挑戦したワケ

 ライフスタイルや関連する消費スタイルは時代とともに変わるものだ。加えてテクノロジーが市場や社会の仕組みに影響を与えることもある。それに伴い、なくなる業態もあれば生まれる業態もある。しかし、すべてがすぐに消滅したり、突然現れたりするわけではない。多くは、少しずつ業態を変えたり、仕組みを変えたりすることで変化に適応し、ときには変化をリードする。

 卸・問屋業界も時代の変化とともに変革を問われている業界のひとつだろう。その中で、昔ながらのお茶問屋を営みながら、イベント主催やスイーツの製造販売などを手掛ける老舗がある。お茶の名産地、静岡の小柳津清一商店だ。同店の創業は54年。しかし同社の小柳津社長にいわせれば「当時、業界としては後発組」というほど、静岡のお茶問屋業界は長い歴史を持つ。

 後発組を自覚しているがゆえ、小柳津社長は業界の変化や時代の流れに敏感だ。業界の変化は平成に入ったころからすこしずつ感じていた。転機は05年、大手ボトリング企業がお茶のペットボトルを扱い始めたときだという。ペットボトルのお茶の市場は広がり、コンビニやスーパーなどの棚を占めるようになった。このことは、消費者や小売店舗の側からお茶流通の変革が起きたことを意味する。

 生産者から茶葉を仕入れ、メーカーとして焙煎して、問屋として小売業者に卸す。生き残るためには、従来からの業態にこだわらず、商社、ボトリング企業との取引、通販や直営店による小売など新しいチャネルの開拓が求められている。同社はそこでお茶と親和性の高いお菓子・スイーツの製造販売へと、新しいビジネスに取り組んだ。

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《中尾真二/HANJO HANJO編集部》

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