【卸・問屋の新戦略:2】専門家の看板で独自ブランドに挑む

制度・ビジネスチャンス コラム

小柳津清一商店では茶葉を小売業者に卸すだけでなく、メーカーとして焙煎も行うなど、従来の業態にこだわらない取り組みを行っている
小柳津清一商店では茶葉を小売業者に卸すだけでなく、メーカーとして焙煎も行うなど、従来の業態にこだわらない取り組みを行っている 全 4 枚 拡大写真
■問屋ブランドを武器に新たな卸し先をつかむ

 スイーツの製造販売を始めるにあたって、同社では日本茶の高級感とブランドイメージを重視している。業態を変えたり広げたりする一番の目的は集客だが、ここでのポイントは数にとらわれないことだという。マス市場の売れ筋を狙っても、後発としては競争が激しい。茶問屋というネームバリューを最大限に生かすため、そのブランディングが戦略の主軸となった。

 ただ、それ以外の販促やPRについては、ほぼすべてが未経験からの出発だったという。同社が新業態としてのスイーツ製造販売に打って出たのは、平成に入ってまだ間もない頃のこと。そのため、販促はチラシなどのトラディショナルな手法が中心となった。営業活動については従来の卸し先だけでなく、方々へと販路拡大につとめ、それがキオスクへの卸販売に繋がっている。

 その上で、同社の新事業が成功したのは、やはり商品開発へのこだわりではないかと小柳津社長は分析する。もともと、問屋といいながら焙煎を自社で行うなどお茶メーカーとしても営業していたため、お菓子づくりにおいても通じる品質基準が生きたのだろう。2年ほど前から楽天にモールを出店しており、「CHIYOの和」というバームクーヘンは楽天ランキングで1位を獲得しているが、楽天側が勧めるキャンペーン以外、ネット上には特別な告知やPRなど展開していなかったそうだ。

■新ビジネスは本業に縛られず柔軟な発想で

 いまでは全体の60%がスイーツなど食品の売上が占めるようになったが、それはあくまで市場ニーズによる結果だと小柳津社長は話す。事業を広げるにあたって、業種や業態を絞ることはなく、可能性があれば広く受け入れること。お菓子や食品製造に関するノウハウがなかったため、むしろそれを身につけるつもりで取り組んでいるそうだ。

 ただ、同社の新事業を見ていると、やはり“茶問屋”というブランドイメージが成功に大きく貢献しているのを感じた。スイーツ事業における主力商品は「生クリーム大福」だが、そのうち最も売れるのは、抹茶の濃度を濃くした高い商品だという。

 卸・問屋業界の変革が避けられないならば、戦略には柔軟性をもたせ、幅広い視野で新しいビジネスを考える目が必要だ。既存の取引先、流通経路、販売チャネルを活用したうえでの新しいビジネスが広がるのは理想かもしれないが、新規事業を始める場合はゼロスタートでも臆することなくチャレンジすることも大切だろう。

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《中尾真二/HANJO HANJO編集部》

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