富裕層インバウンドの法則その1

インバウンド・地域活性 コラム

増渕達也(ルート・アンド・パートナーズ 代表取締役)
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★法則1:富裕層インバウンドを2つの構造に分解し継続的に調査する

 昨今ビジネス用語として定着しつつあるインバウンド。人口減少や内需拡大の不透明感が際立つ中、訪日外国人向けの日本における消費を象徴する言葉として、今後もビジネス上の存在感を増していくことが予想される。日本政府観光局(JNTO)や日本旅行業協会(JATA)も各種データを公表しているのは周知の通りだ。

 一方、このインバウンドという言葉、当然ながら日本にだけ存在するものではない。訪日外国人の居住国からみればそれはアウトバウンド旅行に他ならず、彼らの居住国にも当然インバウンドビジネスが存在する。つまり、日本で使われているインバウンドという言葉は、訪日外国人の出身国のインバウンドビジネスとは完全な競合関係にある。

 他方、富裕層ビジネスは、日本では2000年代前半にレクサスの日本上陸時に日経MJ誌の話題の言葉でランキング1位となって以来、二極化への企業活動対応という意味からも無視できない言葉になっている。「富裕層インバウンド」という、21世紀の新型キーワードが生まれてくることは時代の必然だったと言えるだろう。本連載「富裕層インバウンドの法則」の皮切りとして、初回に2つの論点を提示したいと思う。

 1つ目の論点は、「外国人富裕層の訪日時に財布を多く開かせることができれば、彼らが日本で今までより多くの消費活動をしてくれる」という論点だ。消費できる総額が多ければ多いほど、多くのお金を使ってくれる可能性がある、それ自体は論を待たない話だろう。今ミスマッチがあるとするならば、我々が日本において当り前と感じている商品やサービスを外国人目線で提供していないことに尽きるのではないかというのが私の持論だ。

 考え方はとても単純で、外国人富裕層と数多く接し、数多く話し、数多くの彼らの考え方を把握し、彼らに適した提供の仕方をする、これに尽きる。ヒントのひとつが我々ルート・アンド・パートナーズの日本人富裕層顧客が海外旅行をした際の一番多い印象かもしれない。曰く、「なぜこれほどの商品があるのに、もっと上手に私に訴えかけないのだろう」。要するに、海外のインバウンドマーケティングもまだまだ出遅れている。つまり、この国の富裕層にはこう接しよう、というスタンダードはないに等しいわけだ。

 結論から言えば、この点の逆を極めればいい話で、フランスの富裕層にはこうやって、アメリカの、韓国の、シンガポールの、と言った方程式を各国別にマニュアル化できると話は早い。デスティネーションニッポンの泣き所は言語力の差だと巷間言われているが、おはよう、こんにちは、こんばんは、ご機嫌いかが、程度の各国の言葉を用意しておくことはできないものか。それで外国人富裕層顧客の共感をつかめるなら、すなわち、新たな顧客開拓というビジネスにつながるならその程度のことはやって当然なのではなかろうか、しかもこの程度のことは誰でも本当はできるはずなのに。海外で日本語で話しかけられてうれしいなあと思った経験ありませんか? その逆をシンプルでいいから単純に極めませんか?

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《増渕達也》

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