朝ドラ『べっぴんさん』に見る、うまくいく “両輪経営”

制度・ビジネスチャンス コラム

子供服専門の「キアリス」という会社の成長物語である『べっぴんさん』。靴店の一角を借りて始めたお店が、少しずつ大きくなっていき、それにともなって組織として変化していく様は、“経営モノ”としても見どころ満載
子供服専門の「キアリス」という会社の成長物語である『べっぴんさん』。靴店の一角を借りて始めたお店が、少しずつ大きくなっていき、それにともなって組織として変化していく様は、“経営モノ”としても見どころ満載 全 4 枚 拡大写真
 一方、戦争が終わり従軍していた夫たちが一人、また一人と帰ってくる。やがて、すみれの夫・紀夫(永山絢斗)も戻ってくるのだが、彼ら男グループが登場するようになると、経営モノとして俄然、面白くなってくる。

 経営のことがまったくわからないすみれ達を見かねた紀夫は、キアリスの経理職として入社し、やがて社長となるのだが、学生時代の感覚で働くすみれたちを見て、このままではいけないと思う。

 そして、朝の朝礼をしたり、お互いを苗字で呼び合うように決めて、ちゃんとした会社としてキアリスを経営していこうとするのだが、その結果、会社の雰囲気は悪くなってしまう。やがて、店員同士の他愛のない雑談やお店を訪ねてくるお客さんとのやりとりから様々なアイデアが生まれると気付いた紀夫は、キアリスはこのままでいいと、考えを改める。

 クリエイティブな発想は女たちから、経理や営業等の大人の付き合いは男たちが担うという両輪でキアリスは回っていくのだが、この辺りの描き方は、実にフェアである。

 すみれにも紀夫にも長所と短所があることをしっかりと描いていて、どちらか一方ではお店は成立しないということが、ちゃんと伝わってくる。

 現在は昭和30年代に入り、すみれの子ども達が成長した姿が描かれている。戦後のベビーブームに乗って経営が軌道にのり、事業を拡張してきたキアリス。しかし一方で、すみれは思春期を迎えた娘のさくら(井頭愛海)の気持ちがわからずに、すれ違いが起きていた。やがて、夜のナイトクラブに出入りするようになったさくらをすみれが激しく叱ったことで、さくらは家出をしてしまう。

 母と娘の確執と和解もまた、朝ドラの重要なモチーフだが、果たして本作はどのように決着をつけるか? 変わりゆく時代の中で、すみれたちキアリスの面々がどのように成長していくのか、目が離せない。

■『連続テレビ小説 べっぴんさん』/NHK
[総合](月~土)午前8時~8時15分ほか


★成馬零一(なりまれいいち)
1976年生まれ。ライター、ドラマ評論家。WEBマガジン「ich」(イッヒ)主催。主な著作に『キャラクタードラマの誕生:テレビドラマを更新する6人の評論家』(河出書房新社)がある。
https://twitter.com/nariyamada
https://note.mu/narima01


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