【IoTツール最新事情:後編】中小経営者が今一番使いたいツール

IT業務効率 コラム

経営者が直感的に効果を理解できる「irBoard」などをイチオシツールに挙げた、法政大学大学院の松島桂樹教授
経営者が直感的に効果を理解できる「irBoard」などをイチオシツールに挙げた、法政大学大学院の松島桂樹教授 全 6 枚 拡大写真
■少量多品種の製造現場で活躍できるIoTツールとは?

――今野様の講評に「現時点で中小企業がすぐ使えるかどうかという点では、疑問符がつくものが多かった」というご意見がありました。今野製作所様ですぐに導入できるようなツールは少なかったようですね。

今野 量産工場の中で培われたものが多いと感じました。もちろん、中小企業でも生産ラインを構築している工場はありますが、うちのような個別受注生産の工場には合わないものが多かった印象です。

――イチオシツールではRFIDタグに関するものが挙げられています。これは、やはり“東京町工場 ものづくりのワ”プロジェクトを想定したものだったのでしょうか?

今野 そのバイアスは若干あったかもしれません(笑)。ただ、RFIDタグは、これから皆さんがもっと使うようになると思うんです。現場のことを考えたら、リライトプリンターは必需品じゃないでしょうか。こういう商品を中小企業が開発しているということは、現場の必要性から生まれたのではないかと勝手に想像してみました。

――その点では、浜野様は審査したツールの中に、実際に試したいものがいくつかあったということでした。金属加工の現場では、IoTツールは役に立ちそうですか?

浜野 私共のような少量多品種でお客様が多くて、納期が短い現場で困っていることを前提にした上で、使えそうなツールがいくつかあったということですね。浜野製作所のある大田区は人件費や土地代が高く、近くには住宅地が迫っています。大きな敷地で大量の機会を自動運転している会社とは違うモノづくりをしなければ生き残れません。

――その困りごとを解決するのが、今回取り上げたイチオシとしたツールだったということですね。

浜野 例えば、お客さんの締め日や支払い日が違う中で、EDIからファックスまで多様な発注をどう管理するか。その見える化の部分では、顧客情報管理の「ファインドファクトリー」が役立ちそうです。お客様によっては図面ではなく、実物を持ち込まれて、その再現をご依頼されることがあります。その時に預かった品物を返却するときに、足りないものがあるという話になりまして、従業員みんなで工場を探したことがありました。結局、それは先方の勘違いだったのですが、預かり書の作成などももっと簡略化できればいいですよね。その点では林社長が取り上げた「Teachme Biz」が使えるかもしれません。

 他にも、画像測定器や三次元測定機を使うにしても、そう何台もあるわけではないので、実際にはいろいろな測定器を使い分けることになります。その上で、検査表を出すことがプロの責務ですし、それがお客様の安心感につながります。ですが、検査表を作るのも手間ですし、転記ミスが起きる可能性があるので、測定データ無線送受信機器「テレメジャーII」が使えそうだと思いました。

■400万円の工作機械より、100台のiPadの方が役に立つ

――林様は募集ツールの講評として、特定業種向けではなく、汎用的なものを駆使するべきだとおっしゃっています。これはどういうことなのでしょうか?

林 先ほど、松島先生がおっしゃったように、会社にもいろいろな体質があります。IT担当者がいる会社であれば、社長に企画書が届いたとしても、「それって費用対効果はどうなの」と言われた瞬間に没になる。だから、まずはお金をかけなくても使えるツールから始めて、小さくても成果を出してから、次のステップに進むのが良いと思います。それには特定業種向けの高価なツールではなく、汎用的で安価なツールのほうが向いているということです。

――イチオシツールではクラウドでマニュアルを作成する「Teachme Biz」をはじめ、導入に技能を必要としないものがそろっています。導入のハードルという点では、その使いやすさも重要ということですね。

林 費用についてもそうですが、加えて重視したのはスマホが使えるということです。従来の仕事を簡略化して、その分だけ人でないとできない仕事ができます。スマホはすごい高性能なので、その機能をもっと仕事に使いたいと思うんです。例えば、RFIDタグはAndroid端末でスキャンできますから、発想次第でいろいろな使い方が見えてきます。

――武州工業様では従業員にタブレットを1人1台供給していますが、そういうスマートデバイスを使って、従業員の負担を軽減するツールがあってほしいということでしょうか?

林 400万円の工作機械を購入しても、大したことはできません。でも、4万円のiPadなら100台買えますからね。

浜野 中小企業でも1000万円や2000万円の工作機械を買いますけど、100万円のITにはなかなか手が出ないという(笑)。

今野 それは言えてますね、いや良くあります(笑)。

永森 金を産むか産まないかで考えちゃいますからね(笑)。

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《丸田鉄平/HANJO HANJO編集部》

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