サービス産業の「生産性向上」はいかにして達成できるのか?:2

IT業務効率 コラム

「宿泊業の生産性向上推進事業」事例集より。「成功体験が業務改善に対する意識を変えていく」
「宿泊業の生産性向上推進事業」事例集より。「成功体験が業務改善に対する意識を変えていく」 全 4 枚 拡大写真
★業務改善の課題設定から実施、成功体験を作るまで

 2年前に安倍総理が述べた『サービス業の生産性革命』。その具体化に向けて現在、行政を中心に様々な取り組みが行われている。そのうちのひとつ、観光庁が実施した「宿泊業の生産性向上推進事業」では、宿泊業経営者のためのワークショップを全国で開催し、モデル旅館ホテルへコンサルティングを行うことで、生産性向上の成功事例を約100件創出した。

 本事業の柱である、全国でのワークショップだが、よく見られる座学での短期講座ではなく、事業者自身が課題を設定、改善計画を実施し、フォローアップしていく長期的な実践型講座であるのが特徴だ。このワークショップの実施内容はどんなものだったのか、また事業者の意識はどう変化したのだろうか。連載第1回目に引き続き、本事業の中心的役割を担った、公益財団法人日本生産性本部 主席経営コンサルタントの鈴木康雄氏と熊木登氏に話を聞いた。

■科学的・工学的アプローチでのカイゼンで成功体験を作る

 今、業界に必要なものは、インダストリアル・エンジニアリングーー業務効率化に必要な、製造業を模範とした科学的・工学的アプローチでの、改善支援だ。これまでの『業界コンサルタント』は、同業での自身の経験を活かしたアドバイスを行うことが多く、相手の業態や規模の違いなどを加味したものではなかったと、鈴木氏は言う。

鈴木 「このワークショップが目指したものは、自分たちの手で業務改善した『結果』を作ること。業務改善の成功体験を作ることなんです。自分たちだけで業務改善しようとしても難しい人たちもいますが、経営者が現場の管理者も連れてきて参加し、一緒に考えようという姿勢の参加企業も、半分以上いました」

 北海道から九州まで、全国20カ所で募集を行った今回のワークショップには、229もの事業者から申し込みがあり、業界の危機感と積極性を感じさせるものとなった。

■事業者自身で課題を見つけ、カイゼンを実施

 本ワークショップは各会場とも1泊2日で3回開催された。また各回の間のインターバルは2ヶ月が設定されており、全体としては約半年という長期に渡るプログラムだ。

熊木 「自分たちなりの問題を持ってきてもらい、改善の手法を教え、それを持ち帰ってもらって、インターバル2ヶ月の間に、実際に改善を行う。取りまとめた事例集は、このワークショップを通じて自主的に取り組んだ成果といえます」

鈴木 「各社には4M(マン、マシン、メソッド、マテリアル)という、問題分析の視点を教え、自身で改善点を選んでもらいます。改善にあたっては『スキルマップ』の作成、『キャリアプラン』の設定など、具体的な方法論を伝えるようにしました」

 第1回では生産性向上の取り組みについての説明、課題設定に関する説明や行動計画の策定が行われる。その後の2ヶ月で各社が現場での改善に取り組み、第2回の講義時に、トライアルの結果を報告。更なる改善のため行動計画の見直しを行い、次のインターバル2ヶ月で実践。最終回の第3回では、このワークショップで身についた改善を継続させるための活動方法などにも言及した。

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《かのうよしこ/ライター》

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