ブランディングに失敗した日本遺産の活かし方

インバウンド・地域活性 コラム

耶馬渓や青の洞門で知られる大分県中津市。古羅漢(ふるらかん)は今年4月文化庁の日本遺産「やばけい遊覧~大地に描いた山水絵巻の道をゆく」に登録された構成資産の一つ
耶馬渓や青の洞門で知られる大分県中津市。古羅漢(ふるらかん)は今年4月文化庁の日本遺産「やばけい遊覧~大地に描いた山水絵巻の道をゆく」に登録された構成資産の一つ 全 2 枚 拡大写真
 平成27年度スタートした「日本遺産」の認定制度。平成29年度までの認定件数は全国で57ありますが、知名度はほとんどないのが現状です。第一期15件が認定された際はメディアでも注目され、大手旅行会社等では日本遺産の情報をまとめた専用サイトを設けるなどしましたが、現在のところ日本遺産ツアーを組んでいる旅行会社は皆無。ニュースソースで探ってみても日本遺産効果の画期的な事例は見当たりません。

 所管する文化庁は、日本遺産認定の効果について当該地域の認知度が高まるとしていますが、肝心の日本遺産の認知度が地の底を這っている状況ではその効果もほぼ期待できません。日本遺産は完全にブランディングに失敗しており、ブランド力は「〇〇百選」レベルに甘んじています。

 一方、認定された地域はといえば、こちらも所管するのは文化財課など、ブランディングやマーケティングとは無縁の部署、正直「認定」がゴールになっている感が否めません。

 文化庁では様々な取組を行うことにより地域のアイデンティティの再確認やブランド化等に貢献し、地方創生にもつながるとしていますが、大方は日本遺産のホームページやパンフレットや日本遺産マークを入れたガイドマップの製作止まり、肝心の地域の受け皿整備などは手つかずのまま、日本遺産を活かす戦略は見えてきません。

 では、日本遺産は全く使い物にならないかといえば、そうではありません。

■地域活性化は、売れない芸人をブレイクさせるのと同じ?

 そもそも「日本遺産」というネーミングからして、「〇〇銀座」のような二番感、バッタものの匂いが否めません。ブランティングで重要なことは言うまでもなく、コンセプト。日本遺産の最大の価値とは何か、それはこれまで埋もれていた魅力ある地域資源の発掘であり、その情報が提供されることです。

 一方、その情報は一般の目にほぼ触れることなく、ほとんど活用はされていません。原因の一つは、日本遺産が点在する遺産を面として活用・発信するとして、文化財群をストーリーとしてパッケージ化、一体的にPRしようとしていること。

 そのストーリーのタイトルを見ると、「近世日本の教育遺産群-学ぶ心・礼節の本源」、「信長公のおもてなしが息づく戦国城下町」など、一見して具体的なイメージが思い浮びません。

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《水津陽子》

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