ミャンマー訪問から~大きく変化する国とその経済成長~

海外進出 コラム

三井逸友(嘉悦大学大学院ビジネス創造研究科長・教授)
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 本年10月13日から16日、ミャンマー連邦共和国の首都ネピードー市に行った。ミャンマーには2年前、ヤンゴン市にも行っているので、二度目の訪問である。

 今回の機会は、ネピードー市で開催されたACSBアジア中小企業協議会の第5回大会に参加するためであった。ACSBはICSB国際中小企業協議会(本部、米国ワシントンDC)の地域組織で、2012年秋に韓国ソウル市で創立大会が開かれている。以来、ソウル(二回)、マレーシアミリ市、インドネシア・ジャカルタ市で年次大会を開催してきている。

 ICSBは創立以来60年以上の歴史を重ねた国際組織で、なかば国際学会的であるが、「研究者、政策立案者、実践者、教育者の組織」という位置づけを持ち、各年度大会毎に、研究発表やシンポジウム、政策フォーラム、ビジネスマッチング、若手セミナーなどの行事を開催し、活発な活動を行っている。ACSB同様の欧州組織ECSBは大きな権威ある存在であり、またICSBは昨年、国連のNGO組織に認定された。

 私はこのICSBに加入する日本支部組織・JICSB中小企業研究国際協議会日本委員会の委員長を務めてきているので、今回もそうした職責からの参加であった。同時に、2年前の訪問以来、日本企業の現地展開などからも注目される存在であるミャンマーの現況を見てみたいという思いもつよかった。

 ミャンマー自体は、現在人口6200万人、国土面積は67万8500平方キロあるので、日本の倍近くの国土に約半分の人口ということになる。しかし現在の年間国民所得は約1,300USドル(15万円足らず)だから、まだまだ経済発展は遅れている。長く軍政下での鎖国と独自の「社会主義体制」を敷いてきたが、近年経済の自由化、市場開放、さらに政治的民主化がすすみ、ようやくASEAN諸国の実質的な仲間入りができているという印象である。石油、天然ガスを産し、また米や農産物、木材などを輸出するという、発展途上経済の姿を未だ出ていないが、豊富な人口と土地を手がかりに、いま外国資本の誘致に非常に力を入れている。政権移行を境にひとの行き来促進にも努め、2年前には大使館で並んで、入国ビザを申請しなければならなかったが、いまはweb上でeVisaを容易に取得できる。

 首都ネピードーは、11年前に国策でヤンゴンから遷都されたまったくの人工都市で、こうした機会でもなければ、私も訪れることもなかっただろう。ともかく、ひとと車の溢れる500万都市ヤンゴンとは対照的に、正直「なにもない荒野」という印象である。そのあちこちに、政府機関建物や関係者の住宅、今回の大会のあったMICC国際会議場、さらにはホテルなどが点在しているとしか表現できなく、唯一道路だけは非常に立派で、中心部の国会議事堂前などは片側10車線というすごさである。そこをまばらに、乗用車やバイクが走っている。ともかく、有り体に言えば、「コンパクトシティ」のイメージの真逆なのである。なぜかホテルだけはやたらにたくさんあるが、政府・行政関係者やこうした国際会議などの機会に訪れるほか、なんの観光資源もないに等しい。唯一観光向けなのはゴルフ場で、市内のあちこちにある印象だった。

 ヤンゴンが大変な交通渋滞と電力不足に悩まされているのとは対照的に、電力供給は十分で、道路は立派に夜間照明されている。ホテルはもちろんエアコン完備、wifiも首尾よくつながる。一昨年のACSB大会のあったマレーシア・サラワク州ミリ市では、立派な大型ホテルが会場でもあったが、客室でのwifi接続は非常に心許なかったので、そうしたところはたいしたものである。もっとも、さかんに「インターネット時代、IoT時代のビジネスチャンス」が語られたACSB会場のMICCでは、壁に「Free Wifi」と貼られていたが、まったくダメで、会場係員も首を振るだけだった。

 肝心のACSB第五回大会の方は、きわめて政治色行政色の濃いものだった。それはミャンマーの現在の課題を示しているだけでなく、今大会は本来オーストラリアの開催が予定されていながら、これが返上され、急遽ミャンマーが手を上げたという経緯もからんでいる。だから、ICSBの4つの柱で言えば、政策立案者、実践者(企業経営者や行政関係者を含め)、教育者に傾斜し、研究者の存在は影が薄かったとせざるを得ない。ACSB現会長のヘルマワン・カヤトラ氏(インドネシア)自身は、マーケティングの研究者であるが、教育者、実践専門家としての立場がぬきんでていることもある。会長挨拶ののちの基調演説には、政府計画財政省のウィンストン・セト・アウン氏が立ったのをはじめ、行政関係者、企業経営者、諸団体、さらにはアジア開銀などの国際援助機関の登壇が目立った。2年前の、ヤンゴンでのミャンマー中小企業投資セミナーの際もそうだったが、いま政府をあげて、市場経済活性化に向けた直接投資の誘致とともに、国内での中小企業の創業と発展につよい期待を抱いている。会場では、アジア開銀の援助でつくられた「私営部門発展のための枠組みと行動計画」文書が参加者全員に配布されていた。


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《三井逸友》

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