「商品売るより 自分を売ろう」野球と人、そこにはハイゴールド(後編)

人材 コラム

株式会社ハイゴールド 専務取締役 風呂本隆史さん。国内唯一の総合野球用品メーカーであるハイゴールドは、「商品売るより自分を売ろう」の理念のもと、半世紀のあいだ、野球用品の開発に取り組んできた
株式会社ハイゴールド 専務取締役 風呂本隆史さん。国内唯一の総合野球用品メーカーであるハイゴールドは、「商品売るより自分を売ろう」の理念のもと、半世紀のあいだ、野球用品の開発に取り組んできた 全 3 枚 拡大写真
 2020年の東京オリンピックの追加競技として野球とソフトボールが採用されたことに、日本中が拍手喝采をしたことは記憶に新しい。日本で開催される世界的スポーツイベントには、野球がなくてはならないことを改めて実感させる出来事だった。一方では、少子化の影響もあり野球の競技人口は年々減少している。

 野球を取り巻く環境が変化するなか、野球そのもの、そして野球を取り巻く文化に対して、熱い愛情をもって取り組んでいる会社がある。国内唯一の総合野球用品メーカーの「株式会社ハイゴールド」は、「商品売るより自分を売ろう」の理念のもと、半世紀のあいだ、野球用品の開発に取り組んできた。

 ハイゴールドと野球の関わり、そして経営のあり方を専務取締役の風呂本隆史氏に聞く2回連載の後半では、自身が専務理事を務めている、野球文化を活性化させる団体「球活.jp」についても話を聞いた。


■ハイゴールドのこだわりと新たな戦略

――ユニフォームやグローブだけでなく、トンボブラシやノックマシンなど野球にまつわる膨大な数の製品を扱っています。それに対して社員数は28人! 少人数での経営はなぜ可能なのでしょうか?

人数が少ないことと売上は比例するわけではありません。例えば大手のメーカーにはたくさんの従業員がいますが、それはいろいろなスポーツを網羅しているからで、野球の部署だけに絞り込むとそこまで多いということはありません。つまり野球だけに特化しているハイゴールドは、少人数でも十分やっていけるということです。

ハイゴールドというのはあくまで営業部隊なんです。製造は別会社でやっています。ハイゴールドの一番良い製品は専属工場で作っていますが、例えばシューズのような量産品については海外や下請けの協力工場に注文を出すという形をとっています。

販売店を回る営業部隊が現場の声を吸い上げて企画を出し、それを開発が商品化していくという感じですので、たくさんの人数で商品開発を行なっているというわけではないのです。

――少子化やスポーツの多様化のなかで野球に接する人の数もかつてとは異なります。そのような状況で野球用品メーカーとして、今後どのような戦略をお考えでしょうか。

ハイゴールドは、コストを考えて安い材料を使うというようなことはやりたくないんです。自分たちの利益よりもお客様の利益を重視しています。決断に迷ったら自分寄りではなくお客様寄り、楽な道と大変な道があったら大変な道を選ぶことを旨としています。

でもそれだけではビジネスを成立させるのは難しい。ハイゴールドのブランドの考え方は日本でしか通用しないマインドなんですね。例えばどんなにボールを受けてもびくともしないグローブを作っても、お客様の中には「ハイゴールドの製品を使いたいけれど、そこまで上等なものでなくてもいい」という方もいらっしゃいます。野球以外のアパレルを求める声も多くなってきています。

そこで野球にとことんこだわるブランドはハイゴールドとしてさらに強化しつつ、海外進出も視野に入れたアパレル志向の新しいブランド「ALUKA」を立ち上げることにしたのです。

■日本の野球文化を盛り上げるために始まった「球活.jp」

――本業のかたわら野球そのものを盛り上げるための活動体である「球活.jp」の常務理事もお務めです。

「球活.jp」はこれからの野球界を真剣に考え、業界全体を発展させていこうということを目的に2017年の1月に設立されました。日本で認知されている野球用品メーカー21社が集まりました。日頃はライバル同士ですが、10年後、20年後を見すえ協力し、野球界を盛り上げていくことになりました。

今年は「野球場へ行こうキャンペーン」をやりました。私たちは野球をやっている人に対してのアプローチに関しては十二分にできていますが、野球をやっていない人へのアプローチは本当に苦労しています。例えばスポーツ店で案内を出しても、お客様は野球に興味がないかもしれないし、そもそもお店に来ないかもしれません。そこで球活.jpで購入した1万枚のチケットを無償で提供して、とにかく野球場へ足を運んでもらうことにしました。これは大成功でした。

まずプロ野球からということで、セパ12球団に球活.jpの活動について説明したところ、限られた予算にも関わらず快くチケットを提供していただきました。


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《HANJO HANJO編集部》

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