金融機関による「地域商社」は地域経済の起爆剤となるか?/地域商社やまぐち(株)の挑戦

インバウンド・地域活性 コラム

山口県の協力のもと、山口銀行が中心となって設立された「地域商社やまぐち株式会社」。取扱商品は「やまぐち三ツ星セレクション」としてブランド化される
山口県の協力のもと、山口銀行が中心となって設立された「地域商社やまぐち株式会社」。取扱商品は「やまぐち三ツ星セレクション」としてブランド化される 全 4 枚 拡大写真
 地方の金融機関による地域活性事業として「地域商社」事業に参入する事例が増えている。地域金融の要である地銀や信用金庫にとって、自らが地域商社事業に参入することは地域経済の起爆剤となるのだろうか?

 山口県の協力のもと、山口銀行(山口フィナンシャルグループ)が中心となって設立した民間100%の事業会社「地域商社やまぐち株式会社」への取材を通じて、金融機関による地域商社事業について紐解いてみたい。

■地域商社とは?

 平成26年に内閣に設置された「まち・ひと・しごと創生本部」のホームページには以下のような記述がある。

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地域には、まだまだ知られていない農産品や工芸品など、魅力ある産品やサービスが数多く眠っています。こうした地域の優れた産品・サービスの販路を新たに開拓することで、従来以上の収益を引き出し、そこで得られた知見や収益を生産者に還元していく「地域商社事業」を、地域に育て、根付かせるため、様々な角度から支援活動を行っています
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 地域商社が従来モデルの地場の商社と異なるのは、

・観光を含めた地域全体を国内外に売り込む地域プロデュース事業
・「地産外消」をキーワードに地域の外から経済を呼び込む事業

を優先的に行う事業であり、先ずは行政が主導した一次産業の6次産業化施策で生まれた商品の出口対策 (販路開拓)として成果を求められている部分が大きい。また、観光領域まで事業が及ぶ場合、概念的にはDMOとの業務領域の重複が懸念されるが、現在のDMOがまだまだ収益を自ら産み出して自主財源で自走する段階には至っていないものが多い中、当初から営利目的で設立される地域商社が手がける観光事業がどのようなものになるのか? そういったところが注目していきたい点である。

■地域商社やまぐちの事業モデル

 地域商社やまぐちの事業説明書によると、初期段階では「取扱商品の首都圏での消費拡大」を目標に掲げており、首都圏の百貨店バイヤーや消費者の目に留まるよう、既存商品の見直しや新商品開発のサポートを行い、手がけた商品のブランディングを行うという。

 具体的には、

・山口県内に本社を置く事業者が、県内で生産・製造していること
・主要原材料に山口県産品を使用していること
・商品の原料や製法に対する「地域性」や「こだわり」、「ストーリー性」が可視化されていること

の3つの基準を設け、この基準を満たす取扱商品を「やまぐち三ツ星セレクション」と称してブランド化し、首都圏に売り込んでいくB2B領域での事業がメインになるという。

■金融機関と行政と事業者の三位一体

 地域商社やまぐちが他の地域商社と決定的に異なるのは、主管するのが地域の金融機関(やまぐちフィナンシャルグループ)だという点にある。同フィナンシャルグループの中心的な金融機関である山口銀行と山口県は地方創生に係る包括連携協定の締結を行っている。その協定に基づき、山口県は公益財団法人やまぐち産業振興財団を通じて、「やまぐち三ツ星セレクション」に採択されるための商品開発等にかかる費用の一部を補助金として支出するという(2/3以内、補助金交付上限額1,000千円)。つまり、地元企業が新商品開発を行うために必要な資金は、通常ならば銀行が融資するのだが、

・銀行借入してまで新商品開発など新規事業を行う積極的な事業者は少ない(借入リスク)
・銀行側としても融資先の新規事業が必ず成功するとか限らない(融資リスク)

の双方のリスクを、一定範囲内ではあるが、行政が担うという点に特徴がある。


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《HANJO HANJO編集部》

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